ICTから学ぶトレンドライン

ICT分析:トレンドライン理論

トレンドラインの一般的な働き

トレンドラインとは、上昇トレンドでは安値同士を結び、下降トレンドでは高値同士を結んで引く線のことです。これは、価格がどの方向に動いているのかを視覚的に確認するための最も基本的な作業になります。特に前回の高値や安値と重なるポイントや他のテクニカル要素(サポート・レジスタンス・オーダーブロック・フィボナッチ水準など)が重なる場所にトレンドラインが位置すると、そこはトレーダーが意識するエリア・オブ・ハイコンフルエンス(AOH)と呼ばれます。

  • Area of High Confluence(AOH)とは
    • High Confluenceとは複数の根拠が集中している場所という意味になります。

    • 一般トレーダーは、ここでサポートやレジスタンスが強いと判断するため、エントリーや決済の目安となります。

このため、AOHは多くの注文(売り・買い)が集まる場所となり、価格が大きく動く起点になることがあります。ICTの視点では、こうしたエリアはしばしばリクイディティが集中する領域でもあり、スマートマネーが仕掛けを行うきっかけになることが多いです。

  • トレンドラインの注意点

ICT分析:スマートマネーとトレンドライン

トレンドラインの視覚バイアス

ICT(Inner Circle Trader)の考え方では、トレンドラインは本質的な支持線や抵抗線ではなく、ただの見える線にすぎません。多くの個人投資家は線を割ったら下がる・反発すると考えて売買します。その結果、トレンドライン付近には大量の注文(逆張り・損切り・ブレイクアウト注文)が集中します。これこそが視覚バイアス(Visual Bias)です。多くの人が見ているからこそ、その場所に注文が集まりやすいという心理的効果です。

  • スマートマネーの視点
    • 個人投資家が引いたトレンドサポートライン(下値支持線)トレンドレジスタンスライン(上値抵抗線)の周辺に、損切り注文や新規注文が溜まります。

    • スマートマネーはその上下のリクイディティを狩り取るように市場を動かします。

    • 価格をトレンドラインの上下に一時的に抜けさせることで、損切りや逆張り注文を吸収し、決済や新規ポジション形成に利用します。
  • 初心者への注意点

トレンドラインの利用

  • トレンドラインの利用とその本質
    マーケットが大きく動き(Expansion=価格の拡張局面)を繰り返していくと、チャート上に上昇トレンドや下降トレンドが形作られていきます。これが多くの個人投資家にサポートラインやレジスタンスラインとして認識されます。
  • 多くの初心者トレーダーは

と信じて売買します。その結果、これらのライン付近には逆張り注文や損切り注文が集中し、リクイディティエンジンが作られるのです。このように注文が一箇所に固まると、スマートマネーはそれを利用してリクイディティ・ハントを行います。

  • チャートに見えるものと実際の流れ

スマートマネーとトレンドライン

  • 価格はリクイディティを基準に動く
    価格そのものはリクイディティを探しに動いています。つまりどこに多くの注文が溜まっているかを常に見に行きます。トレンドラインそのものを尊重しているのではなく、トレンドラインの周囲に集まる注文を狙っているのです。

  • トレンドを予言しないこと
    スマートマネーはこのラインで反発するだろうというトレンド理論で未来を予言しているわけではありません。彼らが注目しているのは、まだ取引されていない価格帯(Untraded Price・未充足の価格領域)や、注文が集中している場所です。

  • トレンドラインで直接取引しない
    トレンドラインは市場参加者が意識する線に過ぎません。スマートマネーにとっての本質は 流れ(フロー)であり、トレンドラインそのものではなく、その周囲に発生するリクイディティ(ストップ注文の集合)を利用してポジションを作ります。
  • 価格はリクイディティだけを尊重し、大きな流動性がどこにあるかを見ている
  • トレンド理論で価格を予言せず、取引されていない価格に目を向けている
  • トレンドラインの本質は流れであり、トレンドラインで取引しない

まとめ