ICTから学ぶピボット水準とADR

ICT分析:IPDAとピボット

1日の値動きと4つの水準

IPDAは、1日の値動き(日足レンジ)を設計する際、特定の数値水準をターゲットにします。多くの場合、その基準は前日の高値・前日の安値に紐づいています。ICTでは、市場は最低でも4つの水準を埋めに行く傾向があると考えられていますが、大きな値幅の日は、4つ以上の水準を目指すこともあります。

  • セントラルピボット(中央基準値)より上側
    • M3:中央ピボット(CPP)とR1の間の50%(中間点)
    • R1:抵抗帯(段階注文)
    • M4:R1とR2の間の50%
    • R2:抵抗帯(段階注文)
    • M5:R2とR3の間の50%
    • R3:抵抗帯(段階注文)
  • セントラルピボット(中央基準値)より下側
    • M2:CPPとS1の間の50%
    • S1:サポート帯(段階注文)
    • M1:S1とS2の間の50%
    • S2:サポート帯(段階注文)
    • M0:S2とS3の間の50%
    • S3:サポート帯(段階注文)
  • CBDRのピボットの戦略
    • エントリー前に考えること
      • PDアレイ・マトリクスとオーダーフローの方向を確認します。
      • その日の値動きで どの水準が埋められやすいかを推測しましょう。
    • 目標水準の考え方
      • ロングはエントリー価格の上側の4つの水準を狙います。
      • ショートはエントリー価格の下側の4つの水準を狙います。
      • 最低4つの水準を到達目安にします。

1日の値動きと4つの水準

  • どの数値に注目するか
    事前にどのレベルを使うか完全には分からないので、取引が進むにつれてIPDAの意図が明らかになります。ニューヨークセッションが、その日のIPDA設計(どの水準を使うか)を示すことが多いですが、ICTではコンフルエンス(複数の水準が重なるポイント)を重視し、時間帯・相場環境・PDアレイを組み合わせて、その日の高値(HOD)・安値(LOD)を推測しましょう。

ピボットとIPDA Matrix

  • 買いシナリオ
    PD Array・オーダーフローを確認しバイアスを特定します。CBDR安値Level Oneとし、そこから4つの水準を順に目指すイメージです。市場は、安値から数えて4つ上の水準まで到達する可能性を考慮します。
  • 売りシナリオ
    PD Array・オーダーフローを確認しバイアスを特定します。CBDR高値をLevel Oneとし、そこから4つの水準を下方向にカウントするイメージです。市場は高値から4つ下の水準までを目指す動きが期待されます。

ピボットと均衡価格Matrix(Floutの活用)

Floutレンジとは、ニューヨーク時間の午後3時から深夜0時のCBDRとアジアレンジの統合レンジとなります。このレンジの50%が均衡値(EQ)となり、CBDRのように4つの価格水準を埋めていくことが期待されます。

  • 買いシナリオ均衡価格Matrix
    Flout EQより上でロングを検討します。EQから高値までを1SDとし、EQから安値までを1SDと数えます。またFloutレンジの高値を4つ分埋めにいく動きが期待されます。
  • 売りシナリオ均衡価格Matrix
    Flout EQより下でショートを検討します。EQから高値までを1SDとし、EQから安値までを1SDと数えます。またFloutレンジの安値を4つ分埋めにいく動きが期待されます。
  • 市場は必ず複数の水準を埋めにいく
  • IPDAは日足レンジを設計する
  • 4つの水準ルール
  • ニューヨークセッションで方向性が固まることが多い

ICT分析:平均日足レンジ(ADR)の活用

ADRとその有効性

ADR(Average Daily Range)とは、過去一定期間の平均的な1日の値幅(高値と安値の差)を示すものです。たとえば、過去5日間の1日の値幅を平均したものがADR5と呼ばれます。これはその日の値幅目安やどこまで動く余地があるかを測るのに使われます。

  • ADRの有効性と注意点
  • ADRが大きく伸びるケース
  • 時間帯とADR達成の関係
    • 理想的なパターン
      ADRがNYオープン時点ではまだ満たされず、London Close(LC)でADRに到達します。この場合、NYセッション中に値幅が拡大していく展開が多です。

    • 注意すべきパターン
      NYオープン前にすでにADRが満たされてしまった場合、その後に高インパクトの経済指標が控えているなら、さらにADRを超える動き(拡張レンジ)が出る可能性が高いです。

まとめ