Overview:オーダーブロックとは
デマンドゾーンで買い、サプライゾーンで売るように、チャート上の重要な価格レベルで注文を出すことがトレード基本となりますが、デマンドゾーンとサプライゾーンが取引を行うほど重要な価格レベルでない場合はどうなるでしょうか?おそらく、それらのゾーンで取引を実行すると、損失が出ることになります。そのため、重要な価格レベルを特定することが欠かせません。ここでは、最も強力なデマンドゾーンとサプライゾーンの1つである オーダーブロック(OB)について説明します。チャートにオーダーブロックゾーンを描く方法と、有効なオーダーブロックを識別するためのルールをここでは紹介します。

オーダーブロック:最適化された領域
オーダーブロック(OB)とは、需要と供給が最適化された領域です。中央銀行や大手金融機関が大きな注文を通じて、特定の資産を大量に蓄積し、その結果、大幅な価格変動が生じるときにオーダーブロック(OB)が形成されます。つまり、市場で買い手と売り手の間に価格の不均衡性(Imbalance)があるときに形成されます。オーダーブロックが重要な理由は、価格がそこに到達すると、価格が大きく反応すると予想されるためです。

上昇シナリオでは、大きく価格の動きが始まる前の最後のローソク足は、オーダーブロックゾーン(OB Zone)と認識されます。ローソク足の色は問いません。ベアマーケットにも同様のことが当てはまります。まずは、これらの例を見て、こちらのマーケットから、基本のオーダーブロックを特定できるかどうか確認してみましょう。水色のハイライトがオーダーブロックとなっています。

実例検証(EURUSD)
こちらはEURUSDの1時間足となっています。ここからマーケットストラクチャーを考え、方向性バイアス(マーケットが上目線か下目線か)を見極めていきましょう。今回使うのは、こちらのブルマーケットになります。それでは、順にみていきましょう。

この市場の前半は上昇トレンドが顕著で、市場によって引き起こされた大きな買いの動き(Imbalance)と、買い手と売り手のバランスをすぐに指摘できると思います。Imbalance はどのタイムフレームでも確認できますが、ここではより実践的に相場を解釈するために1時間足を使用します。オーダーブロックゾーン(OB zone)を特定できるかどうか確認してみましょう。オーダーブロックの定義上、ブルマーケットが始まる前の最後のベアローソク足、または最初のブルローソク足となっています。

➀のOBは大きな買いの動きの前にベアローソク足がありますので、これをハイライトします。➁のOBにも大きな買いのImbalanceがありますで、これも➀のようにハイライトします。➂のOBは大きな動きの前に弱いベアローソク足がありますので、もう一度ハイライトします。➃のOBも➀➁➂同様にハイライトしていきましょう。

また、OBの判断基準として、ローソク足のヒゲが他の部分よりも大きい場合は、常にそのヒゲをオーダーブロックのゾーンと見なすことができます。

オーダーブロック:4つのルール
ここまででオーダーブロックの概要がわかりましたが、重要な点は、オーダーブロックが効果的に機能するためには4つのルールを満たす必要があるということです。これらのルールは、価格の不均衡性(Imbalance)、ブレイクオブストラクチャー(BOS)、価格の非効率性(Inefficiency)、そして、価格が回帰していないこと(Unmitigated)を指しています。Imbalanceのルールは見たので、次のBOSのルールからみていきましょう。

オーダーブロック:価格の構造突破(BOS)
➀のOBは大きな買いの動きの前にベアローソク足がありますので、これをハイライトします。➁のOBはブレイクしていますのでこれも➀のようにハイライトします。➂のOBは大きな動きの前に弱いベアローソク足がありますので、もう一度ハイライトします。➃のOBも➀➁➂同様にハイライトしていきましょう。BOSから回帰して来たとき、うまくオーダーブロックで反発し、それが起点となってBOSを発生させていることが読み取れます。価格が回帰していないOBは後々、そのOBに価格が戻ってきた場合の反発ゾーンになる可能性があります。それでは次にOBと認識されないマーケットストラクチャーを見ていきましょう。

こちらのマーケットはEURUSDの1時間足となっています。こちらはOBとして成立しないパターンを例としたときです。マーケット全体はBOSを繰り返し上昇傾向にあります。BOS➀が発生していることが確認でき、価格がOBゾーンに戻ってきた段階でうまく反発をしています。立て続けにOBで価格が反応し、BOS➁を形成し、第二のOB Zoneも形成しています。

BOS➁を形成した後で、大きく売りの価格が特定レベルを形成しましたが、下落途中でプルバックしました。この動きは前回のマーケットのバランスの範囲内で確認できます。価格がBOSを形成してからのSwing lowのレベルを下回ることはなかったため、このレベルをOBとして識別することはできません。OBを形成するには、価格が特定の価格レベルを突破する必要があります。よってこちらはOBと判断されず、価格が反応しない結果となっています。

オーダーブロック:価格の非効率性(Inefficiency)
次は、Inefficiencyについてです。ローソク足の実体部分だけを描画すると、同じように上昇傾向な動きが見られますが、ヒゲを追加した際に違いがわかります。左のケースでは、価格がこのレベルまで上昇した後、プルバックが発生し、プルバックを待っていたすべての注文が完了することとなります。このレベルをOBとして識別し、価格がこのレベルに反応すると予想した場合、この価格帯の注文は既に決済されているため、OBとして成立する可能性は低くなります。右のシナリオでは、保留中の注文がプルバックを待っている状態となっています。そのため、価格がOB Zoneに戻ってくると、デマンドゾーンで保留状態の注文が一気に流れるという形になります。これが価格の非効率性(Inefficiency)の概念です。

オーダーブロック:非価格回帰(Unmitigated)
オーダーブロックは価格が回帰していない必要があります。また、OBは1回限りの使用です。そのため、価格が以前にOBに反応した場合は、取引を行うことは検討されません。よって、OBは価格が回帰していない必要があります。

まとめ



